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銅山と共に歩んだ「日光市足尾地区」
渡良瀬川の上流・栃木県日光市の足尾地区(旧足尾町)には、社会科の教科書で習った「足尾銅山鉱毒事件」の原因となった銅山跡があります。
「負の遺産」が重くのしかかる足尾地区ですが、足尾銅山の「世界遺産登録」に向けての試みや、荒廃した山々に緑を戻す「ボランティア活動」などが行われています。
この地に訪れ、困難な状況の中でも負けじと生活している住人の姿や、朽ちた産業遺産を目にし「環境破壊」「過疎化」「高齢化」など現在の日本が抱える課題をリアルに感じていただける機会になればと思います。
日本初の公害事件「足尾鉱毒事件」とは
1880年代、足尾銅山から産出した鉱毒が渡良瀬川に流れ込み川の魚が死に、荒廃した山林は洪水を引き起こし下流にある田畑が収穫不能に陥るなど、甚大な被害をもたらしました。
当時の衆院議員「田中正造」や農民らは鉱山操業停止と救済を求めたが、政府はこれに応じませんでした。
1901年(明治34年)衆議院議員を辞職して天皇に直訴するも、阻止され失敗に終わりました。
その後、銅山は1980年代まで稼働し続け、2011年に発生した東日本大震災では基準値を超える鉛が検出されるなど、現在でも鉱毒の影響が残っています。
足尾の発展を支えた「わたらせ渓谷鐵道(旧足尾鉄道)」
わたらせ渓谷鐵道 通称「わ鐵(わてつ)」と呼ばれ、群馬県桐生市と栃木県日光市足尾地区を結ぶ、第3セクター化されたローカル線です。
足尾銅山の貨物輸送に使用されていましたが、閉山後は地域の公共交通機関であると共に、渓谷の自然を楽しむ観光鉄道へと変化して行きました。
関連記事紹介
【施設概要】
●施設名:わたらせ渓谷鐵道 大間々駅
●所在地:群馬県みどり市大間々町大間々1375番地
足尾の中心部「通洞駅」
足尾町の中心部に位置しており「トロッコわたらせ渓谷号」「トロッコわっしー号」の停車駅です。
「足尾銅山観光」など主要スポットの最寄駅でもあり、電車利用時の足尾観光の起点です。
また、2009(平成21年)に駅本屋やプラットホームなどが登録有形文化財に選定されました。
【施設概要】
●施設名:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅
●所在地:栃木県日光市足尾町松原13番地
「足尾町分庁舎(観光案内センター)」
足尾観光に関するパンフレットや、足尾銅山観光の割引券などを入手できます。
その他、地元の方が作成した工芸品なども販売されています。
休憩スペースもあり、スタッフの方々と歓談しながらオススメの観光スポットを聞いてみましょう!
【施設概要】
●施設名:足尾町分庁舎(観光案内センター)
●所在地:栃木県日光市足尾町松原6-3
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅より徒歩約1分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:近隣駐車場を利用
食べ歩きグルメ「ますや肉店のコロッケ」
足尾町分庁舎のとなりにある「ますや肉店」では食べ歩きの定番「コロッケ」販売されています。
昔懐かしいコロッケ、いつまでもこの味を守り続けて欲しいですね。
コロッケ:110円
「ますや肉店」の基本情報
●営業時間:11:30~17:00
●定休日:日曜日
【施設概要】
●施設名:ますや肉店
●所在地:日光市足尾町松原6-2
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅より徒歩約1分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:近隣駐車場を利用
古民家カフェ「さんしょう家」
地元活性化事業として賛同者が立ち上げた古民家再生コミュニティカフェ。
足尾の特産品「山椒」を使用したメニューが提供されています。
また、地域のアンテナショップとしての役割を担い、各種展示会、会合などにも利用されます。
「さんしょう家」の基本情報
●営業時間:11:30~14:00
●営業日:土・日・祝日
●冬季休業:12月~3月
【施設概要】
●施設名:さんしょう家
●所在地:栃木県日光市足尾町松原 8-20
●URL:http://sunshowya.com
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅より徒歩約1分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:近隣駐車場を利用
足尾観光の主要スポット「足尾銅山観光」
江戸時代から続いた足尾銅山の歴史を学べる観光スポット。
トロッコ電車に乗って当時の採掘現場風景をリアルな人形により再現しています。
施設入口付近に足尾地区の「ご当地デザインマンホール」が展示されています。
ちなみに、日光市内にはこのマンホールを含めて計5箇所のエリアで設置されているそうです。
「足尾銅山観光」の基本情報
●営業時間:9:00~16:30
●定休:無休
●料金:大人 830円、小・中学生 410円
関連記事情報
【施設概要】
●施設名:足尾銅山観光
●所在地:栃木県日光市足尾町通洞9-2
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅より徒歩約5分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:無料駐車場あり
まだまだ現役!?「通洞変電所」
大正中期以降、足尾銅山の使用電力を管理する中枢として機能した変電所です。
一見廃墟の様ですが、現在でも変電所として稼働しているというから驚きですね。
【施設概要】
●施設名:通洞変電所
●所在地:栃木県日光市足尾町通洞11
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅より徒歩約10分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:近隣駐車場を利用
鉱石を選定する重要施設「通洞選鉱所跡」
銅鉱石を選定し銅を取り出していた非公開施設「通洞選鉱所跡」。
現在は立入禁止となっていますが、「わたらせ渓谷鐵道」の車窓から全体を一望できます。
【施設概要】
●施設名:通洞選鉱所跡
●所在地:栃木県日光市足尾町中才1-1
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅より徒歩約10分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:近隣駐車場を利用
銅山の監視役「足尾代官所跡」
江戸時代、足尾銅山は江戸幕府直轄の銅山となり監視のため代官所が置かれました。
群馬県の銅問屋に残された見取り図には敷地内に「銅製錬所」が記載されています。
【施設概要】
●施設名:足尾代官所跡
●所在地:栃木県日光市足尾町松原1-1
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅より徒歩約1分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:近隣駐車場を利用
「足字銭」と「鋳銭座跡」
寛永通宝一文銭「足字銭」が鋳造された跡地です。
足利銀行向側に設置されていますが断定的に設置されているもので、本来は「中央グランドの山側」にあったと推定されています。
【施設概要】
●施設名:足字銭と鋳銭座跡
●所在地:日光市足尾町赤沢
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅より徒歩約4分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:近隣駐車場を利用
哀愁漂う「足尾町の町並み」
通洞駅付近が現在の足尾の中心地となり、一見それなりに活気のある商店街にみえます。
しばらく町中を散策するとある違和感を覚えます。
商店街には人影がなく、まるで自分だけが昭和にタイムスリップしたかの様な錯覚に陥ります。
こちらは、近辺に唯一あるコンビニですがまるで震災直後の様な品揃えです。
生鮮品はもちろんお弁当などの販売もありません。現地で何かを調達する事はちょっと難しい状況です。
この地に在住の方々は、いったいどの様な生活を送っているのだろうか? と、つい考えてしまいます。
【施設概要】
●施設名:Yショップくらさわ
●所在地:栃木県日光市足尾町赤沢3-22
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 通洞駅より徒歩約4分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:近隣駐車場を利用
古河掛水倶楽部へ行くなら「足尾駅」
足尾地区の真ん中の駅、古河掛水倶楽部への最寄駅となっています。
2009(平成21年)に駅本屋やプラットホームなどが登録有形文化財に選定されました。
車両基地には、過去に使用されていた列車が展示(放置?)されています。
【施設概要】
●施設名:わたらせ渓谷鐵道 足尾駅
●所在地:栃木県日光市足尾町掛水6
足尾の迎賓館「古河掛水倶楽部」
古河鉱業が足尾銅山の隆盛期に、華族や政府高官を招いて、接待や宿泊に使用した迎賓館です。
大正初期に改築された建物は、外観は洋風、内部は和洋様式を用いた華やかな木造建築となっています。
金網越しですが、隣には足尾鉱業所事務所付の属書庫として建てられたレンガ倉庫があります。
明治期の本格的な赤煉瓦建築として、国登録有形文化財に登録されています。
「古河掛水倶楽部」の基本情報
●営業時間:10:00~15:00(土・日・祝日のみ)
●定休:月曜~金曜の平日(11月下旬~4月上旬は休館)
●料金:大人 500円、小・中学生 300円
【施設概要】
●施設名:古河掛水倶楽部
●所在地:栃木県日光市足尾町掛水2281
●URL:https://www.furukawakk.co.jp/ashio/club/
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 足尾駅より徒歩約2分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:無料駐車場あり
最果ての駅「間藤駅」
ニホンカモシカを見れる駅として知られる「わたらせ渓谷線」の終着駅。
陶芸教室が併設されており、レンタサイクルの受付も行なっています。
現在は廃線区間となっていますが、本山精錬所からの物資運搬していた間藤駅~足尾本山駅まで線路が続いています。
「足尾レンタサイクル」の基本情報
●貸出時間:10:30~16:00
●レンタサイクル料金:1回 510円(4時間以内)
●電動サイクル料金:1回 830円(4時間以内)
※1時間を超え1時間増すごとに100円
【施設概要】
●施設名:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅
●所在地:栃木県日光市足尾町下間藤2番地
旧足尾銅山工作科「古河キャステック株式会社」
足尾銅山の修理工場として発足した機械部門が、製品の開発用に素材を自家製造したことに始まりました。
その後独立し、古河機械金属グループ会社として銅山で培った経験と最新技術により、耐熱・耐摩耗鋳物を製造しています。
【施設概要】
●施設名:古河キャステック株式会社
●所在地:栃木県日光市足尾町下間藤3番5号
●URL:http://www.furukawacastec.co.jp
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅より徒歩約1分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約23分
●駐車場:近隣駐車場を利用
「金沢屋(自販機カフェ)」
間藤駅の近隣で唯一の貴重な休憩スポットです。
自販機カフェとしてリニューアルオープンし、ちょっとした軽食を購入しその場で食べることができます。
「Free Wi-Fi」完備で至れり尽くせりです。
お店の方のご好意で、裏庭に来ていた鹿を見学させていただきました。
【施設概要】
●施設名:金沢屋(自販機カフェ)
●所在地:栃木県日光市足尾町下間藤5-18
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅より徒歩約5分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約23分
●駐車場:近隣駐車場を利用
かつての社宅集落「下の平住宅跡」
金沢屋(自販機カフェ)の向側に足尾銅山の社宅集落跡があり、現在も当時の長屋が保存されています。
上の平を登りきると、足尾の町を一望できビュースポットとしてもオススメです。
【施設概要】
●施設名:下の平住宅跡
●所在地:栃木県日光市足尾町下間藤
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅より徒歩約8分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約24分
●駐車場:近隣駐車場を利用
日本初の水力発電「間藤水力発電所跡」
鉱山施設として日本初となる「水力発電所」を完成させ、足尾銅山の近代化に大きく貢献しました。
現在は、上の平の崖下に直径1mの鉄管の一部と、渡良瀬川原にある原動所の基礎部分が残るのみです。
【施設概要】
●施設名:間藤水力発電所跡
●所在地:栃木県日光市足尾町上間藤
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅より徒歩約7分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約24分
●駐車場:近隣駐車場を利用
日本初の鉄道道路併用橋「古河橋」
1890年(明治23年)にドイツ人により設計されたもので、日本初となる鉄道道路併用橋として運用されました。
現在は、老朽化に伴い新古河橋が架けられ立入禁止となっていますが、貴重な近代化産業遺産として国指定重要文化財に指定されています。
【施設概要】
●施設名:古河橋
●所在地:日光市足尾町赤倉
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅より徒歩約17分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約25分
●駐車場:近隣駐車場を利用
足尾銅山のシンボル「本山製錬所」
足尾銅山で最大規模の製錬所であり、シンボル的な存在感を持つ「本山製錬所」です。
1884(明治17年)当時の最新技術を導入して設立され、1973年(昭和48年)の閉山以後も海外から輸入した銅鉱石の製錬作業は引き続き行われていました。
その後、1987年(昭和62年)に閉鎖され一部の施設が解体されましたが、巨大煙突やタンクなどの遺構は現存しています。
「古河橋」を渡った左手にある、削岩機用の圧縮空気を生産する本山動力所の建物跡。
【施設概要】
●施設名:本山製錬所
●所在地:栃木県日光市足尾町本山1-1
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅より徒歩約20分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約26分
●駐車場:近隣駐車場を利用
ひっそりと佇む「本山鉱山神社」
1889年(明治22年)に、足尾銅山の繁栄を願って本山で働く坑夫からの寄進により創建しました。
銅山の繁栄を願って山神祭が行われるなど、人々の生活と一体となっていました。
当神社の保存計画などもあったようですが、保存状態が悪く「国指定史跡」や「市有系文化財」に指定されるも、どう後世に伝えて行くか課題が残ります。
【施設概要】
●施設名:本山鉱山神社
●所在地:栃木県日光市足尾町本山
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅より徒歩約28分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約28分
●駐車場:近隣駐車場を利用
足尾の絶景スポット「足尾砂防堰堤」
足尾銅山の煙害と山火事により緑が失われ山容は極度に荒廃し、1947年(昭和22年)のカスリーン台風、1948年(昭和23年)アイオン台風による連年の災害により渡良瀬川流域の砂防えん堤の必要性が再認識され、1954年(昭和29年)完成しました。
高さ39m・長さ204m・貯砂量500万㎥で日本最大級の規模を誇り、絶景スポットとにもなっています。
【施設概要】
●施設名:足尾砂防堰堤
●所在地:栃木県日光市足尾町885
●電車でのアクセス:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅より徒歩約33分
●車でのアクセス:日光宇都宮道路 日光I.C.より約30分
●駐車場:近隣駐車場を利用