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宇宙の始まりビックバンを再現し、宇宙の謎に迫る!
茨城県つくば市の筑波研究学園都市にある「KEKつくばキャンパス」では、1970年代より東京ドーム33個分の広大な敷地で電子や陽電子を加速する「加速器」を使用し「宇宙の始まりを解明する」研究が行われています。
2018年(平成30年)には、周囲約3kmに及ぶ日本最大の粒子加速器「SuperKEKB加速器」が本格稼働し、「欧州原子核研究機構(CERN)」が持つ記録を更新し世界最高ルミノシティ(衝突頻度)を達成しました。
「高エネルギー加速器研究機構」通称 KEK(ケック)とは
高エネルギー物理学・加速器科学・物質構造科学などの総合研究機関として、国立大学法人法により設置された大学共同利用機関法人。
KEKという通称は、機構名のローマ字表記「Kou Enerugii Kasokuki Kenkyū Kikō」の頭文字をとった物で、前身のひとつである「旧高エネルギー物理学研究所」の略称を継承しています。
予約不要の常設展示「KEKコミュニケーションプラザ」
KEKの紹介ビデオをはじめ、加速器が動く仕組みや素粒子について学んだり、宇宙から降り注ぐ宇宙線を観察したり、身近なものに含まれている放射線をガイガーカウンターで測定したりと無料で見学する事ができます。
なかでも、高度で難解なKEKの研究内容を少しでも理解するには「紹介ビデオ」の鑑賞は必須です。
毎年9月には「KEK一般公開」が行われます!
この「つくばキャンパス」では、1977年(昭和52年)から年に一度、「KEKBトンネル」内部や「BELLE測定器」を始めとしたほぼ全ての施設を見学できるイベントを開催しています。
また、発明の日である4月18日を含む「科学技術週間中」にも特別公開や講演会などが実施されます。
※新型コロナウイルス感染状況により「KEK一般公開2020」はオンラインで開催されました。
ワンダークォーク
宇宙誕生の謎を解く鍵となる「クォーク(素粒子)」の世界を3つのプログラムで表見しゲーム感覚で楽しめます。
床に写された素粒子を足で弾いて「おはじき」感覚で、ちょっとしたストレス発散にもお勧め!
素粒子とは?
物質を分解したとき、それ以上分割できない最小構成単位を「素粒子」と呼びます。
地球上にある全ての生命や物質は、原子の組み合わせで構成され、中心には陽子や中性子からなる原子核が存在します。
その陽子や中性子も「クォーク」と呼ばれる更に小さな粒子から構成され、「クォーク」と電子の仲間である「レプトン」が「素粒子」であると考えられています。
ボールコースター
粒子を加速させるには、タイミングが重要。電磁石を使って、鉄球をうまく加速するためのタイミングを掴もう!
波形コースター
加速器では凸レンズや凹レンズの働きをする磁石を組み合わせて、粒子が軌道から外れないように制御している仕組みをボールで体験します。
電子ビームを曲げる
クルックス管(真空管)の中で、電子ビームを磁石や電気の力によって曲げることができるコーナーです。
中学生の頃に学んだ「フレミングの法則」と、この様な再開を果たすとは感慨深い。
電子ビームとは
真空管の中で観察される電子の流れで真空に排気されたガラス容器に一対の電極を封入して電圧をかけると、陰極の逆側にある容器内壁が発光する。その現象は陰極から撃ち出されるビームである事から名付けられました。
宇宙線ラボ
人体を通過する宇宙線を確認できる展示。体に悪影響がないか若干気になったり(笑)
ガイガーカウンターを使って「煙探知機」や「温泉の素」などが出す放射線を測定できます。
放射線は普通に自然界に存在すると言いたいのだろうが、ガイガーカウンターが反応するとちょっと驚いてしまいます。
宇宙線とは
宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線のことで、主な成分は陽子で「アルファ粒子・リチウム・ベリリウム・ホウ素・鉄」などの原子核が含まれており我々が住む地球上にも飛来しています。
ニュートリノ振動実験コーナー
「ニュートリノ振動実験」などで使用した、世界最大の「光電子増倍管」を見ることができます。
こちらの展示は、「J-PARC(茨城県東海村)」で人工的に発生させたミュー型ニュートリノを295km離れた「スーパーカミオカンデ(岐阜県飛騨市)」に向けて発射した「T2K実験」を再現しています。話のスケールが大きすぎて頭がついて行きません。。
ニュートリノ振動とは
素粒子である「ニュートリノ」が飛んでいる間に他の種類の「ニュートリノ」に変化する現象を指し、「電子型ニュートリノ・ミュー型ニュートリノ・タウ型ニュートリノ」と呼ばれています。
ハンズ・オンコーナー
KEKで使用している装置では、空気のように軽い「エアロジェル」や、鉛の様に重い「鉛ガラス」などが使われています。
見た目と異なる不思議な感覚を、是非とも体験してみてください。
KEKに関連するノーベル賞紹介コーナー
2008年(平成20年)にノーベル物理学賞を受賞した「小林 誠博士」のノーベル賞メダル(公式レプリカ)や、その研究内容が紹介されています。
小林 誠博士とは
素粒子理論を専門分野とする理論物理学者。小林の名が付けられた「CKM行列や「小林・益川理論」で知られ、2008年(平成20年)には益川敏英、南部陽一郎と共に「ノーベル物理学賞」を受賞し、「高エネルギー加速器研究機構」の特別栄誉教授を務めています。
2009年(平成21年)にノーベル化学賞を受賞した「加速器がとらえた生命のしくみ アダ・ヨナット博士とリボソーム研究」の展示コーナー。
アダ・ヨナット博士
イスラエルの女性科学者で「リボソームの構造」を解明した功績により2009年(平成21年)「ノーベル化学賞」を受賞しました。
アダ・ヨナット博士の「リボソーム研究」の始まりに「高エネルギー加速器研究機構」は大きな役割を果たしました。
Bファクトリー実験装置の模型
Bファクトリーの次期計画として本格稼働が始まった「SuperKEKB」の模型展示。
前身の「KEKB加速器」と比べ100倍程度の頻度でB中間子を生成することができ、世界最高の衝突頻度を誇ります。
Bファクトリーとは
エネルギーが8ギガ電子ボルトの電子と3.5ギガ電子ボルトの陽電子を独立のリングに蓄積し、一か所につくられた交差点でビームを衝突させて素粒子実験をするため、反応頻度が高いビームをつくることを目的として研究が行われ、衝突性能のさらなる向上にむけ2010年(平成22年)より「SuperKEKB加速器」の開発研究・運転が行われています。
現在の「Bell実験装置」の雛形になった、「トパーズ(TOPAZ)」検出器の1/10模型。
トリスタン計画とは
1980年代初頭から90年代中頃まで実施された国内初のプロジェクトで、当時の世界最高エネルギーにおける電子陽電子反応の研究が実施されていました。
宇宙のものさし
もし、物の大きさが「10倍」もしくは「1/10」になったら、我々の世界がどの様に見えるのかが分かる展示パネルです。
日本最初のホームページを発信したWEBサーバー機
1992年(平成4年)、森田博士によって日本で最初にホームページを公開した実物のWEBサーバー機が展示されています。
「KEKコミュニケーションプラザ」周辺の宿をご案内
KEKコミュニケーションプラザのある「筑波研究学園都市エリア」には、シティーホテルや、ビジネスホテルなどの多くの宿泊施設があります。
旅の目的に合わせて最適な宿をお選びください。
「KEKコミュニケーションプラザ」の基本情報
開館時間
●9:30~16:30
休館日
●年末年始及び夏季休業期間
入館料
●無料(自由見学)
※研究所内の施設見学は1回あたり10~80名(要予約)
「KEKコミュニケーションプラザ」へのアクセス情報
電車を利用の場合
●つくばエクスプレス つくば駅より、つくバス「北部シャトル」又は「テクノパーク大穂」「下妻駅」行きに乗り換え「高エネルギー研究所」下車 徒歩約1分
車を利用の場合
●常磐自動車道 桜土浦I.C.より約7分
●首都圏中央連絡自動車 つくば中央I.C.より約12分
駐車場情報
●無料駐車場あり
つくばサイエンスツアーバス
つくばサイエンスツアーバスとは、土曜・日曜・祝日に運行する「KEKコミュニケーションプラザ」をはじめ6つの研究教育施設を巡る循環バスです。
●運行日:土日祝日のみ(年末年始を除く)(夏休み期間中は、月曜日を除く毎日運行)
●料金:大人500円・小学生250円・幼児無料(保護者同伴)
●乗車券販売場所:つくば学園サービスセンター(BiViつくば1F)
【施設概要】
●施設名:高エネルギー加速器研究機構 KEKコミュニケーションプラザ
●所在地:茨城県つくば市大穂1-1
●URL:https://www.kek.jp/
●TEL:029-879-6048(広報室 見学担当)