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宮沢賢治の故郷・花巻市をめぐる旅
岩手県の中央部に位置する花巻市は、著名な作家である宮沢賢治の出身地として知られています。西に奥羽山脈、東に北上高地が連なる北上平野に位置し、四季折々の美しい自然景観が広がっています。市内には、賢治の活動の足跡をたどることができる施設が多数存在します。
賢治が創作した造語「イーハトーブ」は、岩手県をモチーフにした彼の心象世界における理想郷です。詩人、作家、教育者など多岐にわたる活動を行った賢治は、故郷花巻の自然からインスピレーションを得たと伝えられています。2026年は賢治の生誕130周年にあたり、記念イベントや企画展が多数開催されています。
宮沢賢治は1896年8月27日、花巻市で質屋の息子として生まれました。詩人、童話作家、教師、科学者、宗教家など様々な顔を持ち、1926年には農民の生活向上を目指し羅須地人協会を設立。農業技術指導やレコードコンサートなど多方面で活躍しましたが、1933年9月21日、37歳で亡くなりました。生涯で多くの作品を遺しましたが、生前に刊行されたのは2冊だけ。現在は国内外で広く親しまれています。
花巻市内にある賢治ゆかりのスポットをご紹介します!
花巻は、盛岡や東京での滞在を除き、宮沢賢治の生涯の大半を過ごした場所です。彼の作品の題材やモデルとなった場所、人物、事象が多く残っており、「賢治文学」の世界を体感できるスポットを紹介します。
花巻温泉バラ園
1923年開業の花巻温泉と宮沢賢治には深い関係があります。1927年、花巻農学校の教え子で遊園地の造園主任だった富手一に依頼され、賢治が花壇の設計や庭造りを熱心に指導しました。
花巻温泉バラ園は、賢治が設計した「南斜花壇」があった場所に1958年着工、1960年に開園しました。約5,000坪の敷地に約450種6,000株のバラが咲き誇ります。ホテル紅葉館の前庭にあった「日時計花壇」は1976年に移設され、賢治が設計した当時の姿のまま見学できます。
5月下旬から7月上旬の春バラシーズンには、「バラまつり」が開催され、夜にはライトアップも楽しめます。
散策中に小腹が空いたなら、アンコがたっぷりつまった名物「花巻温泉あんぱん」がおすすめです。ぎんどろ公園(花巻農学校跡)
花巻農学校跡の「ぎんどろ公園」には、宮沢賢治が愛した「ぎんどろの木」や、「早春」の一節を刻んだ詩碑、「風の又三郎」の石の像群(本郷新第1回野外彫刻賞受賞)があります。四季折々の風景が楽しめる公園で、10月下旬から11月上旬には紅葉が見頃です。
賢治は、1921年12月に「稗貫郡立稗貫農学校」で教師になり、1923年4月に「岩手県立花巻農学校」に移りました。県立移管時は乙種農学校でしたが、1926年4月から甲種に昇格。賢治はこの年の3月に退職し、宮沢家別宅で独り暮らしの農耕生活を始めました。退職理由は不明ですが、友人には「来年は本物の百姓になる」と話していました。
「早春」の一節を刻んだ詩碑。1950年に建立され、宮沢賢治の石碑としては3番目に古いものです。
ぎんどろ公園の入口近くには、「風の又三郎」をモチーフにした石像群が置かれています。●施設名:ぎんどろ公園(花巻農学校跡)
●所在地:岩手県花巻市若葉町3-16
身照寺(宮沢賢治墓所)
宮沢賢治のお墓がある「身照寺」は、ぎんどろ公園の近くにあります。梟の置物が目印の石段を登ると本堂があり、その裏手奥に賢治の墓があります。緑豊かな境内で、春には「しだれ桜」が咲き誇り、多くの参拝者が訪れます。
1928年、宮沢恒治ら町有志や信徒が日実上人に法華堂を寄進。法華経の信者だった宮沢賢治は「法華堂建立勧進文」を創案し、後に身照寺を継承。1946年に遠光山身照寺となり、1951年には宮沢家の菩提寺だった安浄寺から「身照寺」へ改宗しました。現在は、賢治の墓参拝や御朱印の購入を目的に、多くの賢治ファンが訪れています。
宮沢賢治デザインの期間限定御朱印は、切り絵のような立派な作りで、自宅では額に入れて飾っています。
宮沢家の墓は本堂の裏手奥にあり、賢治もそこに眠っています。お参りの際はマナーを守ってください。宮沢賢治記念館
胡四王山の中腹にある「宮沢賢治記念館」は、詩、童話、教育、農業、科学など、賢治の幅広い活動を展示しています。開館以来、多くのファンが訪れ、愛用品や原稿などのゆかりの品々を鑑賞しています。ビデオ、スライド、図書資料なども展示されています。
館内には、花巻市内を一望できる「展望ラウンジ」や、賢治と花巻の年表、映像と音楽ライブラリーを楽しめる「賢治サロン」があり、サロンはカフェスペースとしても利用可能です。
賢治が愛用していた「チェロの実物」が展示されていて、ファンにとっては興味深いですね。
賢治の貴重な資料を展示し、パネルで生い立ちや活動を分かりやすく紹介しています。●施設名:宮沢賢治記念館
●所在地:岩手県花巻市矢沢1-1-36
●URL:https://www.city.hanamaki.iwate.jp/miyazawakenji/kinenkan/
宮沢賢治イーハトーブ館
宮沢賢治記念館から「ポランの広場」を抜けると、「宮沢賢治イーハトーブ館」があります。賢治と作品を愛する人々によって発表された芸術作品や研究論文が収集・整理・公開され、誰でも賢治の世界に触れることができます。
当館は、宮沢賢治作品の愛好者、研究者の集まりである「宮沢賢治学会イーハトーブセンター」の本部でもあります。センターの企画により、賢治に関する研究成果、創作物、工芸品などを数か月間隔で入れ替えながら、企画展示しています。
館内にはカフェスペースもあり、パフェやケーキなどのスイーツを楽しめます。
当館の裏手にある牡丹園には、菊花品評会にちなんだ賢治の句稿がひっそりと設置されています。ポランの広場
宮沢賢治の作品名にちなんだ「ポランの広場」は、豊かな森に囲まれた公園です。広場内には、賢治が設計した南斜花壇と日時計花壇がありますが、当時は経済的、技術的な理由で実現しませんでした。
設計図や手紙を元に「南斜花壇」と「日時計花壇」が再現され、色とりどりの花々が訪れる人々を迎えています。
童話「どんぐりと山猫」の世界観をモザイクタイル画で表現しています。
ポランの広場は、「宮沢賢治記念館」と「イーハトーブ館」を結ぶ散策路にあります。●施設名:ポランの広場
●所在地:岩手県花巻市矢沢1-1-36
宮沢賢治童話村
宮沢賢治童話村は、約2.8haの敷地に賢治童話の世界が広がる施設です。「銀河ステーション」「銀河ステーション広場」「妖精の小径」「天空の広場」「山野草園」などのエリアがあり、有料施設「賢治の学校」と隣接する「花巻市博物館」も楽しめます。
芝生広場の奥にあるログハウス展示施設「賢治の教室」では、童話に登場する「植物」「動物」「星」「鳥」「石」をテーマにした展示が行われています。また、賢治作品グッズや花巻の名産品を販売するショップ「森の店っこや」も併設されています。
ログハウス展示施設「賢治の教室」には、作品に登場する動物たちに関する展示が「動物の教室」で行われています。
「賢治の学校」では、現代アートのような表現で賢治の世界観を再現した展示が行われています。●施設名:宮沢賢治童話村
●所在地:岩手県花巻市高松26-19
●URL:https://www.city.hanamaki.iwate.jp/miyazawakenji/dowamura/
胡四王山(胡四王神社)
胡四王山は宮沢賢治とゆかりが深く、短歌や文語詩未定稿「丘」にも登場します。賢治が愛用していた手帳に記されていた「経埋ムベキ山」のひとつで、かつて恋の痛みに耐えかねて訪れたと伝えられています。
標高176mの山頂にある「胡四王神社」は、坂上田村麻呂将軍が傷病兵を看護治療した地と伝えられています。もともとは薬師如来を本尊とする「医王山胡四王寺」でしたが、1818年に本尊を医薬の神である大己貴命少名彦命に変更され、現在の神社となりました。
胡四王山への参道にある「愛染杉」は、ふれると愛が生まれるという伝説のある珍木です。
「宮沢賢治記念館」から「胡四王神社」へ行く途中の大きな鳥居は、格式高い存在感があります。●施設名:胡四王山(胡四王神社)
●所在地:岩手県花巻市矢沢3-160
山猫軒(レストラン・お土産処)
宮沢賢治記念館の隣にある「注文の多い料理店」をモチーフにした土産物店とレストランでは、「賢治グッズ」や、地元食材を使った「山猫ぞうすい」や「山猫すいとんセット」などのユニークなメニューを楽しめます。
山猫軒の裏手には、国道へ続く367段の階段(雨ニモマケズ階段)があり、「宮沢賢治童話村」へと続いています。
山猫軒の売店コーナー奥にあるレストランの入口。定番メニューは天ぷらそばと三ツ矢サイダーの「賢治セット」。
山猫軒の売店で、おしゃれなデザインの「宮沢賢治グッズ」をたくさん買ってしまいました。雨ニモマケズ詩碑・下の畑
宮沢賢治が農民に化学や土壌を教えた「羅須地人協会」跡地に建つ「賢治詩碑」。碑の文字は高村光太郎が書いています。碑の前からは、賢治が自耕した「下ノ畑」を見渡せます。農学校教師を辞めた賢治は、ここで農耕と独居自炊生活を送りました。この場所は、ファンにとって聖地のような存在です。
今もなお「下ノ畑」周辺には畑が広がり、賢治が作業する姿が目に浮かびます。
展望台からは「下ノ畑」と「北上川」を見下ろし、天気が良ければ早池峰山も望めます。●施設名:雨ニモマケズ詩碑・下の畑
●所在地:岩手県花巻市桜町4丁目
イギリス海岸
宮沢賢治が命名した「イギリス海岸」は、北上川西岸の泥岩層が渇水時にドーバー海峡の白亜の岸に似ていることから名付けられました。散歩道やトイレが整備され、野鳥の声や川のせせらぎを楽しめる散歩コースとなっています。
現在はダム整備で水位が下がらず、泥岩層を見るのは難しいですが、賢治の命日である9月21日には、関係各所の協力でダムや発電所での水量調整を行い、水位を下げる試みが行われています。
●施設名:イギリス海岸
●所在地:岩手県花巻市上小舟渡(周辺)
「銀河鉄道の夜」関連スポットへ足を伸ばしてみませんか?
宮守川橋梁(めがね橋)
岩手県宮守町にあるJR釜石線の宮守川橋梁(通称:めがね橋)は、昭和18年に完成した5連のアーチが美しい鉄橋です。ドラマ「偽装不倫」で紹介され、かつて運行されていた「SL銀河」が通過する姿は「銀河鉄道の夜」を彷彿とさせました。
宮沢賢治が愛した「岩手軽便鉄道」をモデルにしたとされるこの橋は、賢治の死後に建設されました。現在でも、タイミングが合えば釜石線の列車が通過する様子を見ることができます。
●施設名:宮守川橋梁(めがね橋)
●所在地:岩手県遠野市宮守町下宮守30-37-1
道の駅みやもり
国道283号線沿いにある「道の駅みやもり」は、観光と特産品の拠点です。併設のSL銀河ステーションでは、宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」やJR釜石線の歴史に触れられ、鉄道ファンや観光客に人気です。
東日本大震災からの復興支援と地域活性化を目的として運行されていた「SL銀河」の写真や関連資料を紹介する展示コーナーがあります。また、敷地内には「宮守川橋梁(めがね橋)」を見渡せるビュースポットがあり、恋人の聖地として認定されています。
●施設名:道の駅みやもり
●所在地:岩手県遠野市宮守町下宮守30-37-1




























